火星は地球より外側の軌道を公転する、太陽系第4番惑星です。
地球に隣接する天体であることから、火星の存在は古来から人類の興味をひきつけ、その赤い色から不吉を告げる星とも呼ばれ、英語ではローマ神話の軍神の名前を与えられ「マーズ(Mars)」と呼ばれます。
公転軌道が地球に近く、また、地球と同じ岩石の地表を持つ地球型惑星であることから、火星には古くから生物が存在するのではないかとも言われており、現在でも、その可能性についてさまざまな調査が行われています。
実は、アメリカ航空宇宙局(NASA)はすでに火星の生物の存在を把握しており、その情報を隠しているという噂もあります。
果たして、火星に生物は本当に存在するのでしょうか?
ここでは「火星の生物を撮影した3枚の写真」をご紹介しましょう。
1.「火星人」に関する考察の歴史3つの経緯
人間が住んでいるこの世界(地球)以外の天体に、生命が存在するという考え方は太古よりあり、世界各国の多くの神話で語られています。
火星もまた、生命体が存在していると古くから考えられており、18世紀初頭には、ランタンや鏡を使って信号を送ることで、火星の生物(火星人)とコンタクトを撮ろうとするアイデアを発案する人もいました。
しかし、あることがきっかけで、火星には人類と同等、あるおはそれ以上の科学技術力を持つ「火星人」が存在しているという仮説がにわかに注目を浴びるようになります。
では、どのような経緯を経て、「火星人」の存在が着目されるようになっていったのでしょうか?
①誤訳がきっかけとなった「火星の運河」の発見
1877年、この年は地球と火星の軌道が最も近づく「火星大接近」の年にあたっていましたが、イタリアの天文学者であるジョバンニ・スキアパレッリは、望遠鏡を使って観測している最中、火星の地表面に幾何学的な線上の模様があることを発見しました。
彼はこのことを発表するにあたり、論文中、その線状模様を「溝(Canali)」と表現していましたが、英語に翻訳される際に誤って「運河(Canal)」と訳されてしまいました。
スキアパレッリが発見した「運河」は、当時の望遠鏡の精度が低かったため、山脈の稜線や谷といった地形があたかも地上に引かれた気が学的な模様に見えた、というのがその正体であることが現代では知られています。
しかし、当時の人々はこの「火星に運河がある」というセンセーショナルな発見に驚き、火星には大規模な運河を建設できる技術力を持つ「火星人」が存在すると信じられることになります。
②「火星人」のイメージを決定づけたSF小説「宇宙戦争」
スキアパレッリによる「運河」の発見から20年後の1897年、イギリスの小説家H・G・ウェルズのSF小説「宇宙戦争」が発表されます。
火星人が地球を侵略するというショッキングなストーリーは当時の人々の話題となり、現代でもこの小説は古典SF小説の名作として評価されています。
ウェルズはこの作中に登場する火星人を、当時の最先端の天文学の情報にもとづき、低重力下の環境で四肢が退化し、巨大な頭部とタコのような触手を持つ「タコ型宇宙人」として描きました。
ウェルズの生み出したイメージは、その後「グレイ」のビジュアルが流布されるまで、宇宙人のイメージのテンプレートとして、広く知られることとなります。
「宇宙戦争」は数度に渡って映画化もされており、最近では2005年にスティーブン・スピルバーグ監督の手によっても製作されたことが有名ですね。
③宇宙探査機によって、「火星人」の存在は否定される
科学技術の発達で、望遠鏡等の観測器具の精度・性能が向上するにつれ、スキアパレッリが発見した「運河」は、実は誤認であったことが判明します。
更に宇宙探査機による火星探査によって、火星表面には水が存在しないことも確認され、「運河」を建設できるほどの高度な文明を持つ「火星人」の存在は否定されることになりました。
2.最先端科学による「火星の生物」の可能性3つの考察
ウェルズが小説に描いたような「火星人」の存在は現代では否定されていますが、過去に生物が存在した、あるいは現在でも微生物レベルの生命体が存在している可能性は、研究対象として注目されています。
それでは、最先端の科学によって、火星に生物が存在する(した)可能性はどこまで判明しているのでしょうか?
①バイキング計画では火星の生物を検出することはできなかった
1975年から1980年にかけてアメリカにより火星探査計画「バイキング計画」が実行され、火星探査機バイキング1号と2号が地表に着陸し、調査を行いました。
2つの探査機を用いた火星上での生命検出実験は、26回にわたって実行され、得られたデータは数年をかけて精査されましたが、一切生物の存在は検出できませんでした。
しかし、バイキング探査機が調査できた範囲はごく限られています。そのため、火星に生命の存在が確認できなかったことに異論を持つ科学者も少なくなく、無人探査機による火星探査はその後も継続して行われるようになりました。
②火星からの隕石からは、生命の痕跡が見つかっている
地球以外の天体や宇宙空間からサンプルを地球に持ち帰ることを「サンプルリターン」と言いますが、火星の岩や土といった物質がサンプルリターンされた例は2017年段階では前例がありません。
しかし、火星由来の隕石は地球上にいくつも存在しており、これを調査することで生命の痕跡を発見できる可能性があります。
1984年12月に南極大陸で発見された「アランヒルズ84001」と呼ばれる隕石は、1300~1600万年前、火星に小惑星が衝突した際にj宇宙へ跳ね上げられた岩石が、1000万年以上宇宙をさまよった挙句約13000年前に南極にアランヒルズに墜ちたとされています。
この隕石を詳しく検査した結果、バクテリアの化石と思われる奇妙な構造が含まれ、また、バクテリア由来と考えられる物質が含有していることが判明しました。
これが実際に微生物(バクテリア)の痕跡であると断言できる根拠は見つかっておらず、否定的な見解も多く結論はでていません。
③火星に広大な地下水脈がある可能性が示唆される
火星にはかつて地球と同じような海があったとする説があります。
火星は地球よりも質量が低かったため、水を地上にとどめておくことができず、蒸発してしまったと考えられています。
火星に水がある、あるいはかつて存在していたかどうかは、火星に生命が存在する、あるいはしていた可能性に重要な影響を与える問題のため、長年にわたってその研究が続いています。
長年、火星には氷の状態で少量の水が存在していることは知られていました。しかしそれはごく一部、少量に限られ、かつて火星に海があった根拠とはなっても、現在の火星に生命が存在している可能性に結びつくものではありませんでした。
2007年、NASAの探査機「オポチュニティ」による火星のメリディアニ平原での探索の結果、かつて火星表面に海があったことを示す痕跡を発見し、注目を集めました。
アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームがNASAのデータを解析した結果、かつて火星の地表にあったと思われる水は地下にある広大な地下水脈から湧き出した可能性が高いと結論づけています。
2015年にはNASAが特定条件下において、火星の地上に液体の水が流れる現象が起こることを公表し、世界を驚かせました。
結論として、火星に生物が存在するという、確たる根拠が発見されるまでには現状では至っていませんが、その可能性はかなり高まっていると考えられ、今後の研究成果が期待されます。
3.本当は火星の生物は発見されている?NASAが隠匿する3枚の写真
その可能性が大きく高まっているとされる火星の生物の存在ですが、この状況に疑念を抱く声も存在します。
NASAはすでに何機も火星に地上探査機を送り込み、そこから膨大なデータを得ていると考えらており、その中には直接生命
の存在を示す根拠となるものがあるのではないか、というのがその主張です。
実際、NASAが公表している火星の地表写真には、生物の痕跡らしいものから、生物そのものが写っていると考えられるものまであり、火星の生物に関して、何か重要なことを隠匿している可能性は否定できません。
これらの写真はNASAが何らかの手違いで外部に漏洩してしまった画像であるとも言われています。
それでは、火星に生命が存在する可能性を示唆する写真を*点、紹介しましょう。
①砂丘に茂る針葉樹
2005年8月に打ち上げられ、翌年3月に火星の軌道に投入された探査機、マースリコネッサンスオービターが2010年に1月に撮影した火星の地表写真です。
撮影されたのは、火星の北極点から約380km南に位置する砂丘ですが、そこには、まるで地球の針葉樹林のように見える木立がくっきりと写っていたのです。
NASAはこの地点が北極点に近いことから、二酸化炭素が凍結してできるドライアイスが砂に付着し、このような奇妙な光景を作り出したと説明していますが、果たして……?
②地上にたたずむ人影
2004年に火星地表に投入された地上探査機、マーズ・エクスプロレーション・ローバー・スピリットが撮影した写真の一枚。
この写真には岩に腰を下ろした人間のような影が写っています。
NASAがこの写真を公表した際にはこの人影についての説明はまったくありませんでしたが、中国国内でこのことに気づいた人物がネット上で話題にし、大きな議論を呼びました。
③地表に存在する原生生物(ワーム)
2012年に火星に着陸した探査機マーズ・サイエンス・ラボラトリーのローバー「キュリオシティ」は、NASAが火星に投入した地上探査車としては最新のものです。
2016年1月29日にキュリオシティによって撮影され、翌月公開された地表写真には、砂のうねをまたぐように地表に存在している、ムカデのようなシルエットの原生生物らしきものを捉えていました。
通常、NASAがこのような観測写真を公開する場合、撮影された画像データそのものではなく、公開向けに修正されたものが公表されているそうですが、この写真は、写っていた原生生物の存在に気づかないまま、その部分を無修正で公表してしまったもののようです。
まとめ
かつては海が存在せず、乾燥した死の惑星と言われていた火星ですが、近年、急速に生命の存在の可能性を示唆する事実が発見され、その多くが公表されています。
一部にはこのような流れそのものが、NASAが近い将来、衝撃的な事実=火星に生物が確実に存在する証拠を公表するために、段階的に世論を誘導している方策であるとする説も存在します。
果たして、遠くない将来、NASAが火星の生物を正式に公表する日は来るのでしょうか?