実体験!東北のおばあちゃんの家に遊びに行ったときの話
それは僕が中学3年で、弟が中学1年のときだった。
夏休みに、僕たちは東北にある父方のおばあちゃんの家に遊びに行っていた。
おばあちゃんの家には1週間ほどいる予定だったが、僕たちの親は、僕と弟を2人だけでおばあちゃんの家に行かせた。
もう中学生なのだから、自分たちだけでおばあちゃんの家くら行けるようにと考えて、そうさせたようだ。
都会育ちの僕たちにとって、山や川で思い切り遊べるおばあちゃんの家はまるで天国のようだった。
「いいか、これだけは守るんだぞ」
きかん坊の僕たちに、おばあちゃんは釘をさすように言った。
「この山のてっぺんにある神社には絶対に行くな。わかったな?」
僕と弟は顔を見合わせてうなづいた・・だが、行くなと言われれば、行きたくなるのが子供だ・・
次の日、僕たちは川に遊びに行くふりをして、早速その神社に向かった。
神社は、おばあちゃんの家のすぐ裏の山にあった。
山といっても、高さは300メートルくらいだからたいしたことはない。
僕たちは昼ご飯までには帰るつもりで出かけた
険しい山道を登り、壊れた石段を歩いていると、目の前にボロボロの鳥居が見えた。
「あれだ」
僕が指さすと、弟がうなづいた
夏の暑い日だというのに、なぜかひんやりした空気が流れていたのを覚えている
半分朽ちたような鳥居をくぐると、その先には壊れかけた祠があった。壁は破れて穴だらけで、屋根には雑草が生い茂っていた。
祠(ほこら)の扉には鍵がかかっていて開くことができない。
「なんだ、これだけかよ」と弟はガッカリした様子で僕を見上げた。
「しょうがない。帰ろう」
と僕がそう言ったときだった・・
「ちょっと待って、何か音がしなかった?」
そう言われれば確かに聞こえる。
ズルッ、ズルッと何かを引きずるような音だ。
その音は祠の中から聞こえてきた。
「何だろう」
僕が祠に近づこうとすると、「お兄ちゃん、帰ろうよ」と、弟が止めた。
「いいからちょっと待ってろ」
僕は弟が止めるのを聞かずに、扉の隙間から中を覗き込んだ。
すると、スッと中で何かが動く気配がした。
それを見た瞬間、僕はゾクッとして、「帰ろう」と言って弟の手を引いて祠をあとにした。
僕たちは、山を下りておばあちゃんの家にたどり着くまで無言だった、
暑い夏の日に山を下りてきたのに、まったく汗をかいていないのも不思議だったが最初の異変はその日の午後に起きた
おばあちゃんに頼まれて、近くの店まで買い物に行ったときだった
近くといっても、田舎のだから1キロくらいは離れていた。
自転車で店に向かっていると、正面から走ってきたバイクの警官に停められた、「ん?何のことだろうと思いつつも」
「こらっ、2人乗りしちゃいかん!」警官はそう言ってバイクで近づいてきた・・
しかし、僕は2人乗りなどしていない。
「お巡りさん、2人乗りって何のことですか?」
「あれ、おかしいな。確かに白い服の人がうしろに乗ってるのが見えたんだけどな」
警官は首をかしげ、またバイクに乗って立ち去った。
買い物から帰ってくると、弟は「寒い」と言って、Tシャツを2枚重ねて着ていた。
僕は夏風邪でも引いたのかと思って、あまり気にしなかった
しかし、その日はカンカン照りだというのに、僕もまったく汗をかいていないのは妙だった。
その夜みんなが寝静まってから、それはやってきた
最初は、ドスンとすごい地響きがした。
地震かと思って飛び起きたがそうではない
隣で寝ていたおばあちゃんが電気をつけたので、ふすまの隙間からこっちの部屋にも光が漏れた。
「何の音?」
「わからない」
僕とおばあちゃんは、ふすま越しに短く言葉を交わした。
すると、家の外でズルッズルッと何かを引きずるような音がした
それが昼間祠の中で聞いた音と同じだと気付いたとき、僕は全身に鳥肌が立った。
すると突然、おばあちゃんがふすまを開けて怒鳴った。
「お前たち、あの神社に行ったんか!」
僕はうなづくしかなかった。
「あれほど言ったのに!」
おばあちゃんはしばらく考えていたが、「来てもらうしかないか」とつぶやいて、どこかへ電話をかけた。
するとまたドスンと地響きがした。
僕は「ギャッ」と悲鳴をあげ、ふとんの上でうづくまった。
まるで生きた心地がしなかった・・・
こんな状況なのに、弟はいくら揺り動かしても目を覚まさない。
するとおばあちゃんは、「起こさんでええ。この子は守りが強い」と言った
おばあちゃんは僕たちのそばに来て、「いいか、絶対に動くなよ。生きて帰れんぞ」と落ち着いた声で言った。
あまりの恐怖に、僕は涙を流してうなづくだけだった
それからおばあちゃんは僕を抱きしめ、何やら呪文のような言葉を唱え始めた。
外では、相変わらず何かを引きずるような音が聞こえている
すると、突然ドアをノックする音がして、「おばあちゃん、私ですよ、助けに来ました!」と女の人の声がした
おばあちゃんは呪文をやめて耳を澄ましていたが、急に立ち上がるとドアに向かって、「違う!」と大声で叫んだ
するとまたドスンと音がして、引きずるような音が玄関から庭のほうに回っていった。
どうやら、魔物が助けに来た人のふりをして、中に入ろうとしたようだったかもしれない
どうして違うとわかったのか、僕はあとで聞いてみた。
すると、「あんなに早く来れるはずがない」というのが、おばあちゃんの答えだった。
それから10分ほどたって、「おばあちゃん、私です」と、また声がした
おばあちゃんがおそるおそるドアを開けると、そこには手に大きな数珠を提げたおばさんが立っていた。
「またあれかいな」
「あれじゃわい。悪いけど頼むわな」
おばあちゃんは僕たちのほうを指さした。
「ああ、この子たちじゃね。こりゃすごいのが憑いとるが」
おばさんは僕の前に座り、手を伸ばして僕の胸から何かを引き抜くようなしぐさをした。
それから、今度は寝ている弟の背中をトンとつついて、同じように見えない何かを引き抜いた。
外の引きずるような音は、いつの間にかやんでいた。
「今夜は私も朝までいましょう」
そう言って、おばさんは僕たちと朝まで一緒に寝てくれた。
父がこわばった顔で僕たちを迎えにきたのは、翌日の午後だった。
僕たちは予定より2日早く帰ることになった
その後、僕たちがおばあちゃんの家に行くことはなかった
それから5年後のある日、東京の家にいると突然大きな地響きがした
入院先の病院から、おばあちゃんが亡くなったという知らせが届いたのは、そのすぐあとだった
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