ネッシーは実在するのか?ネッシーの実在説に対する3つの疑問

地球上に存在する生物は、現在発見されているだけでも約175万種とされていますが、未発見生物は、その数十倍以上存在するする説もあります。

そうした未発見生物の中には「UMA(未確認動物)」として、世界に知られているものもいるかもしれません。

「UMA」の中でも最も知名度の高い、代名詞的存在が「ネッシー」です。

20世紀前半から現在まで、数多くの目撃証言や写真、映像が報告される一方、撮影された映像のほとんどが見間違いや捏造であることも判明しており、いまだネッシーの実在を示す確たる証拠は見つかっていません。

果たして、ネッシーは本当に存在するのでしょうか?

ここでは「ネッシーの写真7選」をご紹介してまいりましょう。

 

1.ネッシーを捉えた4つの歴史的な写真

イギリス・スコットランドのハイランド地方にある、イギリス最大の淡水湖、ネス湖

このネス湖に棲むとされる未確認生物(UMA)が「ネッシー」です。

ネッシーの目撃情報は古く、6世紀後半に活動した修道僧コルンバについて書かれた伝記にその表記を見ることができます。

しかし、ネッシーの目撃情報が増えるのは20世紀に入ってから、1933年にネス湖周辺に道路が整備、開通して以降のことになります。

数々の目撃情報から、ネッシーは体長数十メートルを超す巨大な水棲爬虫類と推測することが可能で、太古の恐竜の生き残りとして世界中の人から注目を集めました。

日本でもテレビ番組の題材として度々取り上げられ、日本国内の湖等で目撃情報のあるネッシーと同様の未確認動物に「◯ッシー」と名付けるのが流行(北海道屈斜路湖の「クッシー」や鹿児島県池田湖の「イッシー」等)したこともあるほど、その名前は日本においても人口に膾炙しています。

ネッシーの実在を信じる人が多いという事実には、その報道の初期に、多くの写真がその目撃情報を裏付けるものとしてメディアによって取り上げられたことも大きく影響していることは間違いありません。

ネッシーの目撃史を語るのに一見しておくべき歴史的な写真を紹介しましょう。

 

①史上初のネッシーの写真「マッケイ夫妻の写真」

ネッシーの存在がメディアに取り上げられ、世界的に有名になるきっかけとなったのは、1933年、ネス湖の湖畔でホテルを経営するマッケイ夫妻の目撃談でした。

その日、夫妻は湖沿岸を走る、当時開通したばかりの国道を歩いていた最中に、湖中央の水面に巨大な黒いコブ状のものが浮かんている様子を目撃しました。

そのコブは水面で呼吸するように上下したあと、静かに水面下に姿を消したといいます。

1990年代になって、マッケイ夫人は初めて、その時撮影されたという写真を公表しました。

現在、この写真はネッシーを撮影した最初の写真として知られています。

 

②大ブレークを起こす「ヒュー・グレイの写真」

マッケイ夫妻の目撃談をメディアで知った会社員のヒュー・グレイは、「ネス湖の怪物」の写真を撮ろう同年11月にネス湖を訪れます。

彼がネス湖に注ぐフォイヤーズ川近辺を歩いていると、湖面に10メートルを超す「ネス湖の怪物」が出現、再び水中に姿を消すまでの約2分間に5枚の写真を撮影することに成功しました。

ヒュー・グレイの写真は新聞で報道されると、大きな話題を呼びました。

彼の写真がいずれもぶれていて、はっきりとした「ネス湖の怪物」の姿を捉えていなかったことも、人々の関心を呼ぶ要因となりました。

当時、ネス湖周辺を通る国道が開通したばかりであったことも幸いし、多くの人が「ネス湖の怪物」の姿を写真に収めようと、現地を訪れるようになったのです。

こうして、以来多くの写真が撮影され、ネッシーの知名度は世界的に広まっていくことになります。

 

③最も有名な「外科医の写真」

初期のネッシーブームの時期に撮影された写真の中でも、最も知名度が高いものと言えば、1934年に撮影された通称「外科医の写真」ででしょう。

この写真を撮影したのは、ロンドンの外科医、ロバート・ケネス・ウィルソン

友人とともに鳥を撮影するためにネス湖を訪れた彼は、ネス湖で水面から頭を出しているネッシーを目撃し、撮影することに成功。

この首長竜らしい特徴が鮮明に写っている写真は、公表されると共に大反響を呼び、長きにわたって「ネッシーの写真」の代表格としてメディアに扱われてきました。

しかし、この写真については、波の大きさがネッシーの頭や首と比較して大きすぎるなど不自然な点が当初から指摘されており、写真の真贋をめぐる論争が巻き起こりました。

1993年になって、この写真はウィルソンを始めとする数人のグループによって仕組まれたイタズラだったことが発覚、結局この写真は潜水艦の玩具にヘビのおもちゃを取り付け、それっぽく写したフェイクであることがわかりました。

 

④信ぴょう性が高いとされる「背の写真」

外科医の写真」をめぐる真贋論争と、最終的にそれがフェイクであったという結論は、ネッシーを撮影したとされる写真全般に対しネガティブな印象を植え付けたことは否めません。

その中で、特に信ぴょう性の高い写真とされるのが、1955年P・A・マクナブ氏が撮影した写真です。

画面左側にネス湖畔に位置するアーカード城跡が映り込み、湖の水面に黒い影が浮かんでいることが見て取れます。

これは研究家によってネッシーの「背中」であるとされており、その大きさは城跡と比較してみると全長15m以上あると推測されます。

後にこの写真は「背の写真」と呼ばれることとなり、ネッシー研究家の間では信ぴょう性が高いと考えられています。

 

2.ネッシー実在説に対する3つの疑問

数多くの目撃情報や証拠写真の見つかってるネッシーですが、その実在を疑う声が多いことも事実です。

「外科医の写真」がフェイクであったことが発覚したことから、まるでネッシーを撮影したすべての写真が偽物であるかのような空気が生まれたことも確かですが、ネッシー否定派の主張の裏付けになっているのは、単に写真のフェイクだけではないようです。

では、どのような疑問が提示されているのでしょうか?

 

①地勢学上の疑問点

ネッシーの生息地であるネス湖ができたのは、約11000年前、氷河期の氷が完全に消えて以降のことであると推定されています。

一方で、首長竜等の恐竜が絶滅したのは約650万年前の話であるため、ネス湖にその子孫が生き残っているとするには無理があります。

また、かつてネス湖には海とつながっていた時期があり、海洋で生存していた恐竜がネス湖に移動してきたという説も唱えられていますが、学術調査の結果、ネス湖が海とつながっていたことを示す根拠は発見されていません。

 

②生物学上の疑問点

周囲の川から泥炭が常に流れ込んでいるため、ネス湖の水は濁って透明度が非常に低くなっています。

このため、魚類の餌となる植物プランクトンが繁殖しにくく、結果、ネス湖に棲息する魚は同規模の湖と比較してかなり少ないことがわかっています。

一方で、爬虫類が繁殖し子孫を残すためには、最低でも40頭程度個体が存在する必要があり、それを支えるだけの餌を確保できる環境が必要になります。

体長数十mの大型爬虫類の群れが子孫を残すには、ネス湖は適した環境であるとは言えません。

 

③実際の調査から浮かび上がった疑問点

ネッシー捜索のため、1987年には大規模な調査が行われましたが、ソナーによる探索でも、ネッシーに該当する大型生物の発見には至っていません。

ネッシーは湖底にある洞窟に棲息しているという説もありましたが、水中カメラによる探索の結果、ネッシーが「」として使えるような大型の洞窟は発見されずに終わっています。

また、近年ではコンピュータによるデジタル補正やCGを使い、古いネッシーの写真の解析も行われていますが、殆どの写真が流木や破損したボート、水鳥や魚の群れを写しているという結果が出ています。

 

2.最新版ネッシーの写真3選

学術的調査の結果、ネッシーの実在を裏付ける証拠はなにひとつ発見されなかったことから、現在ではネッシーは実在しないという考え方が大勢を占めています。

しかし、にも関わらず、近年になってもネッシーの存在を裏付けるような写真や画像が撮影されているのです。

近年話題になったネッシーの写真・画像を紹介しましょう。

 

①観光船の操舵手が撮影したネッシー

これは2010年、地元で観光船の操舵手を務めるジョージ・エドワード氏が撮影した写真です。

エドワード氏はネス湖で26年間にわたってネッシーツアーの観光船の操舵手として働いてきましたが、このような写真を撮影したのは初めてだったとのこと。

この写真には、P・A・マクナブ氏の「背の写真」同様、アーカード城跡の遺跡が写っています。

湖の中でも、このアーカード城跡周辺はネッシーの目撃情報が多いエリアであり、この写真の信ぴょう性も高いと考えられています。

 

②テレビクルーが撮影した「白いネッシー」

上記の写真と同じ2010年、地元テレビ局のSTV(スコティっしょテレビジョン)のスタッフが撮影したネッシーの写真です。

巨大な体躯と共に、他の写真には見られない特徴として、「白い」体色を揚げられます。

この体色から、この写真に写っているのはアルビノの個体か、もしくは別種の未確認動物の可能性もあると考えられています。

 

③アップル社のアプリの写真に写り込んでいたネッシー

2014年、アップルのiPhone・iPad向けのマップアプリ内で使用されているネス湖の画像に、水面下を移動する巨大生物らしい影が写り込んでいたことが判明し、話題を呼びました。

画像から推定される大きさは約15mで、シロナガスクジラの半分ほどの大きさであるといいます。

同じ座標の写真をグーグルマップで確認しても、どうようの影は映っていないことから、これが移動する何らかの物体であることは間違いありません。

衛星写真の場合、一定以上の速度で動いている物体が映らないという現象が起こることがあり、この写真も実際は湖面を移動する船によって発生した波紋であるという説もありますが、真相は定かではありません。

 

まとめ

「外科医の写真」の一件で、すっかり捏造説が浸透してしまった観のあるネッシーですが、その実在を否定する根拠が発見されたわけではありません。

写真技術が誕生する以前から伝承があるネッシーですから、どこかに生存している可能性もゼロとは言い切れないでしょう。

今後、ネッシーの実在を証明する決定的な根拠となるものが発見されるかもしれません。

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