我々が子供の頃、絵本や童謡で親しんだ「桃太郎」の都市伝説がある。
それは、現在語られている桃太郎のストーリーは“子供向けに改変された内容”なのだという。
今回は改変される前の桃太郎について紹介したいと思う。
日本昔話「桃太郎」の衝撃の都市伝説とは!?
まず一般的な桃太郎のストーリーをおさらい
まずは、我々が知っている桃太郎についておさらいしてみよう。
1.二人暮らしのおじいさんとおばあさんは、それぞれ山へ芝刈りと川に洗濯に出かける。
川で洗濯をしていたおばあさんの元に、川上から大きな桃が流れてくる。
おばあさんはその桃を家に持ち帰る事にした。
2.家に持ち帰って食べようと桃に包丁を入れたところ、桃が勝手に割れて中から男の赤ちゃんが産まれてきた。
桃から生まれたその子は「桃太郎」と名付けられた。
3.大きくなった桃太郎は悪さをしている鬼を退治すべく、おばあさん特製の「きび団子」を持って家を出る。
途中で猿・キジ・犬をきび団子で釣って仲間にする。
4.鬼ヶ島に到着し、鬼退治を完了させた桃太郎たちは、鬼たちの宝物を沢山持って無事におじいさんとおばあさんの待つ家へと帰った。
都市伝説:そもそも桃太郎は桃から生まれていない!?
先ほど触れたように、桃太郎という名前は文字通り「桃から生まれた男の子」という意味で名付けられたものである。
この設定が生まれたのは明治の後半の頃で、それまでは“川上から流れてきた不思議な桃を拾って食べたおじいさんとおばあさんが若返りその晩、営んで妊娠した子”だった。
古くから桃には不思議な力があるとされ、不老不死や若返りの効果があると考えられていた為、このような設定が生まれたのである。
桃太郎のお話は1987年の小学校の教科書で使われていたが、このままの内容を載せてしまうと「なぜ、おじいさんとおばあさんが若返ると桃太郎が生まれたの?」「営みってなに?」という子供ならではの疑問が生まれてしまい、性教育をするのにはまだ早いという事で“桃太郎は桃から生まれた”という内容に改変された。
お供の三匹の秘密
猿・キジ・犬は、桃太郎のきび団子をもらう代わりに仲間となって鬼退治に同行する。
そもそもなぜこの三匹が鬼退治のメンバーに選ばれたのだろうか?
「陰陽五行思想」という考えによれば、鬼門である北東には鬼が棲むと考えられており、十二支を円状に並べると、北東には「丑」「寅」が並んでいる。
この反対の位置、いわゆる「裏鬼門」には「申」「酉」「戌」が並ぶ。
このことから鬼退治のメンバーに、この三匹の動物が選ばれる事になったのだという。
ここで注目してほしいのが、「猿」と「犬」が仲間となるところである。
猿と犬は「犬猿の仲」という言葉があるように、相性が悪い動物で知られている。
この問題を解決してくれるのが、もう一匹の仲間であるキジである。
キジは「酉」であり、「申」と「戌」の間に位置するので、犬猿の仲の二匹の間を取り持つ役目もあるのだ。
鬼退治が失敗したかもしれない犬と猿の組み合わせは、二匹を仲裁してくれるキジのおかげで成功したと言っても過言ではない。
桃太郎のモデル
Kuniteru I [Public domain], via Wikimedia Commons
桃太郎は、古事記の伊邪那岐命(イザナギのノミコト)・伊邪那美命(イザナミノミコト)の伝説から生まれたのではないかと言われている。
天皇家がどのように始まったのかが記載されている歴史書で、日本を作り出した神様がイザナギとイザナミである。
妻であるイザナミが火の神を出産した事で陰部に火傷を負い、その火傷が原因で命を落としてしまう。
愛していたイザナミに会うべく、黄泉の国(あの世のようなもの)に向かったイザナギは、洞窟の中で亡者に喰われ、腐ったイザナミの姿を発見する。
自身の醜い姿を見られたイザナミは激怒し、亡者たちと共にイザナギを追うが、途中で見つけた桃の木の桃を投げつけられ、イザナギは命からがら逃げ伸びる。
イザナギには何人も子供がおり、そのうちの一人が吉備津彦命(キビツヒコノミコト・別名スサノオノミコト)で、この人物が桃太郎のモデルになったのではないかと言われている。
ちなみにイザナギが亡者(鬼)に桃を投げつけた事で、亡者を退治=鬼退治の構図が生まれたのだそうだ。
いかがだっただろうか?
桃太郎といえば「桃から生まれた」という、いかにもファンタジーな設定が売りのお話だが、普通に子作りで産まれた子であったとは意外である。
このように日本に伝わる昔話には、現代の子供向けに内容が改変されているものが多い。
面白そうな昔話があれば、随時紹介していきたいと思う。