UFOにまつわる事件は、古今東西数多くの事例が存在しますが、もっとも有名になった事件と言えば、1947年にアメリカで起こったUFO墜落事件、通称「ロズウェル事件」でしょう。
事件発生から実に半世紀も経過した1997年に、アメリカ政府はようやく「ロズウェル事件」に関する公式見解を発表、UFOや宇宙人との関わりを正式に否定しましたが、事件の詳細については公表されておらず、いまだに謎が多く残されています。
2015年になって新たな情報が公開されるなど、いまだに話題に上ることの多いロズウェル事件。
果たして、事件の真相とは、どのようなものだったのでしょうか?
ここでは「ロズウェル事件真相9つの論点」についてご紹介しましょう。
1.「ロズウェル」事件の経緯3つのポイント
「ロズウェル事件」とは、1947年7月、アメリカ合衆国のニューメキシコ州ロズウェル近辺で起こったとされる、UFO墜落事件のことです。
実際の墜落現場とされる牧場はロズウェルから70マイル(約113km)離れており、正確には「ロズウェルで起こった事件」ではありません。
しかし、事件の顛末がロズウェルにあるアメリカ陸軍の飛行場と深く関わっていると伝えられることから、一般的に「ロズウェル事件」と呼称されるようになりました。
ロズウェル事件がなぜUFOにまつわる事件としてこれほど有名になったのか、事件の経緯について抑えるべき*つのポイントを見てみましょう。
①事件の存在は米軍自体が公開したものだった
「ロズウェル事件」の存在が公に明るみに出たのは、1947年7月8日、その情報の出処は、なんとアメリカ陸軍ロズウェル飛行場が発行したプレスリリース(報道発表)でした。
このプレスリリースには、ロズウェル飛行場に勤務する職員がロズウェル近郊の牧場の敷地内に墜落した「空飛ぶ円盤」を回収したと書かれていました。
ところが、このプレスリリースは発行から数時間後に、軍司令官が内容の訂正を発表、この時回収されたのは「空飛ぶ円盤」ではなく、気象観測用の気球であったとしました。
このロズウェルでの奇妙な出来事は、その当時はさほど大きな話題にはならず、そのまま忘れ去られました。
事件が世界の注目を集めるようになるのは、30年以上先のことになります。
②UFO研究家によって30年以上前のロズウェルの事件が発掘される
1978年、UFO研究家のスタントン・フリードマンが、1947年に起こったロズウェルの奇妙な事件について、当時墜落した物体の回収を担当した人物にインタビューを敢行、その口から、事件当時、米軍が異星人の乗り物の残骸を発見・回収していたという証言を得ます。
このインタビュー記事はローカルテレビ局でニュースとして扱われ、2年後の1980年にタブロイド紙が掲載。
このことをきっかけとして、「ロズウェル事件」の存在は全世界に知られることになりました。
③事件から50年後にようやく発表された政府公式見解
「ロズウェル事件」が世界的に知られるようになった後も、アメリカ政府がこの件に関し公式の見解を発表することはなく、事件はさまざまな憶測と疑念を呼ぶことになり、UFO研究家の注目を集めることになりました。
ようやく、政府が公式の発表を行ったのは、実に事件発生の50年後、1997年6月のことでした。
しかし、その内容は事件直後のプレスリリース記事訂正とほぼ同じ、「機密実験用の気球の回収」であったとするものであり、異星人の乗り物が回収されたというインタビューの内容は、他の航空機墜落事故の記憶が混同されたものであったいうものでした。
2.「ロズウェル事件」を巡る3つの疑念
事件から半世紀を経てようやく発表された政府公式見解は、およそ納得のいくものではありませんでした。
ただの実験用気球を回収したというのであれば、なぜアメリカ政府は50年もの間、その事実を公表しなかったのでしょうか?
事件の経緯をあらためて見直すと、そこには幾つもの謎がいまだ解明されずに残っていることがわかってきます。
それでは、どのような疑念が存在しているのでしょうか?
①事件には数百人におよぶ目撃者がいた
1978年にフリードマンが「ロズウェル事件」のインタビュー記事を発表して以来、数多くのUFO研究家やジャーナリストがロズウェル近辺で聞き込み調査を行い、その結果、1947年の事件当時、何らかの飛行物体が墜落した光景を目撃したと証言する者は数百名に及ぶことが判明しています。
目撃者には年齢や性別、人種に至るまで特徴的と認められる一致点はなく、また、彼ら全員が関係を持つ組織やコミュニティも存在していません。
つまり、1947年の事件当時、飛行物体の墜落は不特定多数に目撃されており、もし軍部の発表通り、落下したのが気球であれば、それを裏付ける多数の証言があってしかるべきでしょう。
しかし、彼らの証言から、気球やそれに類するものが墜落したという情報を得ることはできませんでした。
これだけの人数によって目撃されながら、誰もそれを気球だと思わなかったというのは、不自然な話であると言わざるをえません。
②無視される目撃証言の内容
「ロズウェル事件」における、墜落した飛行物体が実際に発見されたのは、「空飛ぶ円盤」の記述のあったプレスリリースの発行された7月ではなく、その前月、6月14日であったとされています。
物体の第一発見者は農家のウィリアム・ブレイゼルとその息子であったとされています。
彼らの証言によれば、それは広範囲に散らばっていた残骸であり、ゴム膜やスズ箔、金属の棒などからなる”見たこともない物体”だったと言います。
また、1978年にフリードマンのインタビューに答えた人物も「回収したのは間違いなく異星人の乗り物の残骸であった」と証言しています。
こうした、地球上で作られたものとは明らかに違うものを墜落現場で目撃したという証言があるにも関わらず、政府の見解はこれを完全に無視、あるいは記憶の混乱といった安易な説明をするのみで、詳細に関しては一切回答をしていません。
③1995年に、「回収された宇宙人の死体を解剖する映像」が流出している
前述の通り、1947年の事件発生当時、ロズウェル事件は大して騒ぎになることもなく、いつのまにか忘れ去られる程度の話題でしかありませんでした。
そんなロズウェル事件が世界的に注目される存在となったのは、実に事件から30年以上経過した1978年以降のことです。それは事件の直接の関係者が、1947年時点での軍の発表とはまったくことなる見解をしめしたからです。
更に、1996年にイギリスの映像実業家であるレイ・サンティリが宇宙人の死体を解剖する様子を収めたとするフィルムを公表し、世界的な話題を呼びました。
これは、ロズウェル事件の現場から回収された宇宙人の死体が、その一ヶ月後にテキサス州ダラスにあるフォートワース空軍基地の施設内で解剖された際に撮影されたものとされ、1995年8月に世界同時でテレビ公開されたものです。(日本ではその翌年にフジテレビで放送)
「サンティリ・フィルム」と呼ばれるようになったこの映像は、後に造り物であったことが関係者自身によって告白されていますが、その公開された時期を考えると、1997年の政府公式見解の発表に大きな影響を与えた可能性は十分考えられます。
内部の関係者からの告白や、サンティリ・フィルムの公開などから、アメリカ政府が機密漏洩の可能性を危惧し、その鎮火のためにウソの公式見解を発表したものであるとは考えられないでしょうか?
3.懐疑論者が主張する3つの反論
「ロズウェル事件」の特徴は、数多くの目撃証言があり、その中には事件現場そのものを目撃した人物や、軍内部で事件に関わった人物など、かなり核心に迫るものも存在するという点にあります。
確かに、政府の公式見解では、こうした疑問には直接的な回答は出されておらず、疑念がすべて回収しているとは言い難い状況であることは確かでしょう。
しかし、数々の目撃証言に対し、懐疑論者から強硬な反対論が唱えられてもいます。
「ロズウェル事件=UFO墜落事件」を否定する意見には、どのようなものがあるでしょうか?
①ロズウェルに墜落した物体の正体は判明している
「ロズウェル事件」が起こった1947年は、アメリカ合衆国とソビエト連邦が対立する冷戦時代の黎明期にあたり、両国が急速に核武装を進め始めた時代でもありました。
両国にとって、互いの核兵器開発の進行程度を探ることは非常に重要なことでした。
こうした諜報の観点から、アメリカ軍が当時極秘裏に進めていたのが「モーグル計画」です。
これは、マイクロフォン搭載の高高度気球を上空に上げ、ソビエト連邦領内で行われる核実験を音波という形で捉えようという計画であったといいます。
当然、ことは相手の内情を探る諜報(スパイ)作戦であり、計画の存在自体、当時は極秘扱いとされていました。
そして、この「モーグル計画」が行われた1947年から1948年にかけ、極秘に制作された気球の何機かが、実験飛行中に「喪失」していることが記録されています。
「ロズウェル事件」で発見された飛行物体の残骸の正体は、この極秘実験で用いられた気球であったと考えられています。
②おかしな目撃証言の内容
第一発見者であるウィリアム・ブレイゼルは、飛行物体が墜落した現場に散乱する残骸の中に「祇や花柄のスコッチテープが使われていた」という証言も遺しています。
もし、墜落したのがエイリアンクラフト(宇宙人の乗り物)だったとすれば、明らかに地球製と思われるそのような資材が用いられているはずはありません。
逆に、モーグル計画の気球であったとすれば、そのような資材が機体の製作に用いられていることは十分考えられます。
このような証言の内容を鑑みれば、墜落したのは地球で製造された気球、またはそれ以外の飛行物体であったと考える方が妥当と言えるでしょう。
③実際に自分で墜落を目撃した「目撃者」はほとんどいない
UFO研究家やジャーナリストによって数百人におよぶ目撃者がいたとされる「ロズウェル事件」ですが、実はその証言の大半は「伝聞」の形式=つまり、他人から聞いた話をそのまま伝える形で語られています。
多くのUFO研究家たちが、ロズウェルで聞き込み調査を行ったのは、フリードマンのインタビュー記事が公開され、「ロズウェル事件」の存在がマスコミで大きく取り上げられて以降の話でした。
つまり、多くの「目撃者」の証言は、テレビや新聞で見聞きした目撃情報の話を鵜呑みにし、それを30年以上前の自分の体験だと思い込んだ上での証言である可能性が高いと言えるのです。
目撃者の証言の客観性に信ぴょう性が欠けている以上、それらの目撃談を客観的な証拠として採用することはできない、と懐疑論者たちは主張しています。
まとめ
70年が経過した2017年になって、カナダのマギル大学で心理学を専攻していた元教授のドン・ドンデリ氏が、件の事件がエイリアンクラフトの墜落事件であったと証言するなど、いまだに話題にことかかない「ロズウェル事件」。
アメリカ政府が再度の公式見解を発表しないかぎり、これ以上の真相が判明する可能性は限りなく低い状況と言えますが、それゆえに事件の隠された真実を求める人々の探求は、これからも続いていくことになるでしょう。
果たして、「ロズウェル事件」の本当の真相が白日のもとに晒される日は来るのでしょうか?