西郷隆盛の逸話!今もなお語り継がれる生存説とは?

日本人の大好きな幕末の偉人の一人・西郷隆盛。大久保利通と並んで薩摩藩を代表する人物であるが、未だに解明されていない謎も多い。西郷隆盛の数々の逸話が語り継がれているが、その中でも有名な生存説について紹介しよう。

西郷隆盛の逸話や都市伝説

逸話①:今も分からない西郷隆盛の本当の顏

出典:Edoardo Chiossone [Public domain], via Wikimedia Commons

西郷隆盛は写真を残していないことから、どんな姿をしていたかはっきり分からない人物としても知られている。目が大きくて大柄で、印象的な外見をしていたことは間違いなさそうだ。残されている有名な肖像画は、弟の西郷従道といとこの大山巌の顔を足して描かれたものであり、本人に近いとされている。西郷隆盛がなぜ写真を残さなかったのかは不明だが、乱世だったこともあり、暗殺の可能性もあるので撮られなかったのかもしれない。写真嫌いだった説もある。近年、西郷隆盛と思われる人物が写った写真がドイツで発見されたが、本当に西郷隆盛かどうかは今も分かっていないようである。

逸話②:西郷隆盛と愛犬ツン

西郷隆盛は愛犬家としても有名で、犬を連れた像も作られている。東京上野恩賜公園の西郷像の横にいるのは薩摩犬の「ツン」である。像ではオスになっているが、実際はメスで、希少種であったために像を作る際のモデルがオスしか見つからなかったそうだ。

西郷は像にも表現されているように肥満体であったが、ツンを伴って兎狩りなどをすることもあったという。西郷隆盛は西南戦争にも犬を連れて行き、敗戦を悟ると逃がしてやったという。連れていかれたのはツンではなく、ツンは人にあずけられていたそうだ。つんとした耳や尾っぽから「ツン」と名付けられたツンは、西郷の愛犬として幸せな一生を送ったのだろう。

逸話③:西郷隆盛は死んでいなかった?

西郷隆盛といえば、西南戦争で自刃し亡くなったとされている。が、彼が実は生きているのではないかと信じている人は多く、当時の人々は、日本に接近していた大きな赤い星(火星)の中に西郷隆盛の姿を見つけ、「西郷星」と名付けた。そしてその近くに寄り添っているような小さい星は桐野利秋に見立てて、「桐野星」と呼んでいた。ちなみに桐野星は土星である。浮世絵にも描かれており、江戸を無血開城させた西郷隆盛を偲ぶ人々の想いが感じられる。

西郷隆盛生存説がきっかけで事件に!?

温厚な人柄で愛されていた西郷隆盛の生存説は、当時の新聞にも載るほどで、「西郷は生きていてロシアにいる」「ロシアのニコライ皇太子とともに日本に戻ってくる」と噂されていた。この噂を信じた津田三蔵は、警備担当でありながら、ニコライ皇太子に斬りかかったのである。西郷がもし生きて戻ってきたら、西南戦争で与えられた勲章がはく奪されるのではないかという不安からだった。皇太子は暗殺されずにすんだものの、外交問題に発展し、「大津事件」として歴史に残ることとなった。

英雄の生存伝説はときに事件の引き金になることもあったのである。
もちろん、西郷隆盛がロシア皇太子といっしょに日本に帰ってくることはなかったが、新聞でも取り上げられたほど有名な説だった。

歴史上の英雄生存説の数々

他にも、亡くなったにも関わらず「生きているのでは」と言われた人物は多い。

土方歳三

西郷隆盛と同じ幕末を生きた土方歳三もその一人である。
土方歳三は新撰組副長として活躍し、函館戦争において五稜郭で命を落としたが、遺体は発見されなかった。記録においても、土方歳三を討ち取った人物の名は判明していない。そのため、ロシアに渡って生き延びているとする説が囁かれた。同じ新選組では、原田左之助も生存説がある。なんと彼は坂本龍馬暗殺犯とされたこともあり、新聞でそのように紹介されてしまったこともある。生存説ではモンゴルに渡って馬賊を率いているとされた。真偽のほどは、分からないままだ。

坂本龍馬

暗殺された坂本龍馬も生存説があり、暗殺者の正体やその理由についてもさまざまな噂がある。暗殺されたのは身代わりであり、坂本龍馬はスコットランドに亡命したともいわれている。

織田信長

遺体が発見されなかった人物としては、織田信長も生存説がある。本能寺の変を生き延びた織田信長は、地下通路を通って逃げたという説もある。が、一方で「織田信長のデスマスク」なるものも作られている。海外出身の弥助という部下が信長の首を運び、陶芸家によってデスマスクが製作されたのだとか。作品は存在するものの真偽のほどは不明である。

その他

織田信長に関連する人物も、明智光秀や淀殿など、生存説が囁かれた人物は多い。生き延びた後は歴史の舞台に顔を出さず、平穏な日々を送ったといわれている。現代と違って、記録に頼るしかない時代であったから、「生きているかも」という想像の余地があったのだろう。

源義経が日本から大陸へ渡ってチンギスハンになった説や、真田幸村生存説など、日本人に愛された英雄たちには不思議な伝説が多い。信じるかどうかは自分しだいということになるが、解明されていない謎があるからこそ、歴史はロマンに満ちていえるだろう。

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