ビッグバンは本当に宇宙の始まりか?ビッグバンに関する3つの噂

私達の住むこの宇宙は、巨大な爆発的事象から始まったとする「ビッグバン理論」。

いまではごく一般的に知られるようになった考え方ですが、その着想が生まれたのは比較的近年のことです。

いまだに「ビッグバン」を否定する考え方をする学者も少なくありません。

「ビッグバン」の謎を紐解いていくと、そこにはある宗教的陰謀の影が隠れていることに気づくことができます。

ここでは「ビッグバンに関する3つの噂」をご紹介しましょう。

 

1.「ビッグバン理論」に至る歴史的経緯3つのステップ

ビッグバン」とは、宇宙が生まれる瞬間に起こった巨大な爆発的事象を指す言葉です。

その爆発の後、この宇宙は急激に膨張しつつ、現在のような姿を形成したとされています。

このビッグバンを発端に膨張拡大する宇宙の有り様を論理的に解釈したものが「ビッグバン理論」です。

「ビッグバン」という単語自体、今では一般でも良く知られるようになりましたが、「ビッグバン理論」が定説とされるようになったのは、実は比較的近年の話、20世紀以降の話です。

それでは、一体どのようにして「ビッグバン理論」が認められ、現代宇宙論の定説となったのでしょうか?

 

①古来、宇宙は「永遠不変のもの」とされていた

現代の「宇宙」観の根源をたどると、古代ギリシア時代の哲学者であるピタゴラスが提唱した「秩序ある天体論」=「コスモス」がその始まりであったと言うことができます。

古代ギリシアの詩人ヘシオドスは、自身の著作『神統記』において宇宙の根源には「カオス(Chaos)」=混沌があったと記しています。

これに対して、哲学者ピタゴラスとその一派は、天文現象に見られる法則性から、宇宙が「コスモス(Cosmos)」=秩序によって成り立っていると見なし、数学的にその秩序の構造を解析しようとしました。

現代において「宇宙」を意味する「コスモス」という用語は、このピタゴラス学派の用語に由来します。

当初、宇宙は地球(大地)を中心として天体がその周りを巡るように動いているという「天動説」が信じられていましたが、15世紀後半に天文学者であったコペルニクスが、太陽を中心として地球がその周りを公転しているとする「地動説」を唱え、やがてそれが主流の考え方となっていきます。

しかし、宇宙の構造に関する観測と研究による理論化は進歩しましたが、宇宙の「始まり」と「終わり」を問う者はなかなか現れませんでした。

アイザック・ニュートンは「万有引力の法則」を発見し、それによって地動説の論理性は強化されましたが、しかしニュートンは同時に「絶対空間」「絶対時間」という概念を導入して、この宇宙が永遠不変のものであるとしました。

このニュートンの考え方は同時代の天文学者に広く受け入れられ、以降、宇宙を永遠不変の存在と考える時代が長く続くことになります。

 

②天文観測機器の発達によって発見された「宇宙の膨張」

現代の天体望遠鏡の原型は1609年ガリレオ・ガリレイが自作した「ガリレオ式望遠鏡」にありますが、ガリレオ以降も、さまざまな人が工夫を凝らして望遠鏡を改良し、その性能は格段に向上しました。

1927年、ベルギーの天文学者であるジョルジュ・ルメートルは、当時の最先端の天文観測によって渦巻状銀河が地球から遠ざかっているという観測結果が出されたことを踏まえ、宇宙が爆発で生じた膨張によって作られたという仮説を提唱しました。

この仮説には、アルバート・アインシュタインの有名な「相対性理論」も用いられていましたが、当のアインシュタインはルメートルの唱えた「宇宙に始まりがある」という仮説には猜疑的で、それをナンセンスなものであるとして否定しています。

1929年には、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルによって、すべての銀河が等しく地球から遠ざかっており、しかもその速度は地球からの距離に比例している=地球から遠い銀河ほど、速い速度で遠ざかっていることが発見されました。

ハッブルの発見により、「宇宙が膨張する」ことは、客観的事実として証明され、それまでの「宇宙は不変である」とする旧来の考え方が否定されることになりました。

 

③「定常宇宙論」と「ビッグバン理論」

宇宙が膨張しているという事実が観測結果から導き出されたとは言え、それによって「宇宙は変化する」=「宇宙に始まりがあった」とする説がすぐに受け入れられたわけではありませんでした。

ルメートルの仮説やハッブルの発見を受けて、新たに提唱された宇宙論が「定常宇宙論」です。

これは、宇宙では常に一定の物質が生まれ続けるため、膨張しても物質密度が変わることなく、結果的い宇宙の状態は変化しないように見えるという説です。

この定常宇宙論は「質量保存の法則」という物理学の前提を否定するものではありましたが、年単位で生み出される物質の推定質量が、質量保存の法則に影響しない程の微量と推定されたため、1960年代までは宇宙論の主流として支持されていました。

しかし1965年、太古の宇宙が現在よりも遥かに高温・高密度であったことを示す根拠とされる「宇宙背景放射」が観測されるに至り、宇宙の状態が時間経過に伴い変化していることが客観的に証明されると、「定常宇宙論」を支持する意見は衰退し、ビッグバン理論の支持者が大勢を占めるようになっていきました。

現在では、「ビッグバン理論」が宇宙の誕生から現在のプロセスを説明する、最も有力な学説として支持されています。

 

2.ビッグバン理論が「陰謀」であるとする3つの噂

学術的には「誤り」であったとして衰退した「定常宇宙論」ですが、いまだに宇宙を「永遠不変のもの」と考え、ビッグバン理論に疑念を抱く研究家も少なくありません。

彼らは「ビッグバン理論」が陰謀によって創り出されれた、偽りの学説だと主張しています。

では、その陰謀とは一体どのようなものなのでしょうか?

 

①ビッグバン理論と旧約聖書の奇妙な類似性

第226代ローマ教皇フランシスコ2014年10月、科学アカデミーの会合において「ビッグバン理論を始めとする近年の科学における初発見は神の存在を否定するものではない」と発言しています。

科学アカデミー側の専門家の多くは、この発言の意図はローマ教皇庁が科学の存在を認めるものとして肯定的に受け入れましたが、その声に反対する意見も存在しています。

彼らは「ビッグバン理論」の描く宇宙創生の姿が、キリスト教の聖典である聖書の記述に類似性があることを、その批判の根拠としました。

旧約聖書の最初の書である『創世記』の冒頭によれば、この世界には始め、形も光もない混沌の状態にありました。

そこに、神が「光あれ」と唱えたことで世界が光に満たされ、創生が始まります。

神はその後、わずか6日間でこの世界を創世し、7日目には休まれました。

ビッグバン理論では、最初に起こった巨大な爆発的事象(光)の後、ごくわずかの間、宇宙は光速を超える速度で膨張し(インフレーション)、短時間の間で原初の宇宙が出来上がったとされています。

初めに「光」があり、世界が創られた旧約聖書の著述と、非常によく似ています。

間違いなく、ビッグバン理論と旧約聖書には親和性があると言えるでしょう。

しかし、果たしてそれは偶然だったのでしょうか?

 

②ビッグバン理論の原型を作ったのはカトリックの司祭だった

1927年に「ビッグバン理論」の原型となった意見を提唱した天文学者のジョルジュ・ルメートルは、実はカトリックの司祭でもありました。

彼は1936年ローマ教皇庁科学アカデミーの会員となり、後にその議長となって死去するまでその職を務めています。

また、ルメートルは後年、司祭よりも上位の聖職者である司教の位をローマ教皇庁から与えられてもいます。

旧約聖書には、世界=宇宙は神に寄って創造されたという記述があります。

しかし、20世紀に入るまで、科学における宇宙観はキリスト教以前の古代ギリシアの思想に基づく「永遠不変の存在」として認識されており、そのことは「神による世界の創造」の否定を意味してもいました。

ルメートルは、旧約聖書の趣旨に沿うよう、宇宙創生に関する新たな理論を生み出した可能性は十分に考えられます。

 

③ビッグバン理論はローマ教皇庁が望んだものであった

前述した科学アカデミーにおける発言において、ローマ教皇は「世界の始まりとされるビッグバンは、神聖な創造者の介在と矛盾するものではない」と述べています。

すくなくとも、宇宙には「始まり」がないとする考え方よりも、「ビッグバン」という事象によって誕生したとする現代の学説の方が、ローマ・カトリックの教えに沿うものであると言えるでしょう。

これは、バチカンの影響力によって科学全体が、キリスト教にとって有利な思想に組み替えられていると考えることも可能です。

アメリカでは、自然界の秩序が偶然の進化の産物ではなく、ある知性を持つ存在(神)が意図的にデザインしたとする「インテリジェンスデザイン理論(ID理論)」が幅広く信じられており、第43代大統領ジョージ・W・ブッシュ氏もその信奉者であったことが知られています。

ローマ教皇庁が科学界を裏から支配し、彼らの都合のいい形に科学を変化させようとしている可能性を否定することはできません。

 

まとめ

科学において最も重視される考え方のひとつである「反証可能性」によれば、「ビッグバン理論」もまた、「今のところ反証されていない仮説」のひとつに過ぎません。

観測機器の発達が、「ビッグバン理論」の萌芽となったように、今後さらなる天文観測の結果が「ビッグバン理論」を覆す新たな学説を生み出す可能性も十分に考えられます。

今後、天文観測によって、どのような驚くべき事実が明らかになるか、注目したいところですね。

 

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